飢餓と肥満の歴史
私たち人類の長い歴史は、飢餓との永い戦いの歴史でもあります。人類は飢餓という厳しい環境のもと、生き延び子孫を残すため、環境に様々な適応を繰り返して今日まで生き延びてきました。
この飢餓という環境を生き延びるため、人間の体はできるだけエネルギーを節約するようになり、余ったエネルギーを脂肪として蓄えることを覚えました。
この仕組みが飢餓の時代を生き延びていくうえで大きな武器となり、飢えに強い節約遺伝子を持つ者だけが、現在まで生き延びてきました。
しかし、現在のように食事の量が増えると、この節約遺伝子の働きがエネルギーを溜めすぎて肥満を引き起こし、飢餓になれた体を狂わせてしまいます。
節約遺伝子は、人間が永い時間をかけて手に入れた生き延びるための大切な武器で、肥満の歴史は始まったばかりです。人間の身体が、肥満にそう簡単に適応するとは考えられませんし、肥満は節約遺伝子を持つ人類にとって正常な状態であるとは考えにくいのです。
